春の大阪王者・大商大高が上田大河投手(3年)の9回5安打11奪三振の好投で実力校・興国を下し、好スタートを切った。

最速148キロの大阪ナンバーワン右腕は、登板前に教室で格闘していた。午前中に、日本史と国語表現の期末テストがあった。「集中できませんでした」と苦笑い。初戦のマウンドが頭にちらついた。テストが終わると、打って変わって集中力が高まった。「絶対に勝ちきらないといけない。初回から集中しました」。球威ある直球とスライダーを駆使し、序盤から奪三振ショー。3回には、1死三塁のピンチで2者連続見逃し三振に仕留めるなど、相手を寄せ付けなかった。

身近な存在がナインの刺激でもある。今春は、同系列の大商大が関西6大学で優勝。グラウンドを借りる間柄でもあり、多くの部員が優勝決定戦を見守った。高橋克典監督(34)は6月に行われた、全日本選手権準々決勝の東海大戦を神宮球場で観戦。3-4で敗れ「負けて帰ってくる選手がこの世の終わりのような顔をしていて。戦いに行っている集団だよねという話を部員にしました」。夏本番に向け、勝ちにこだわる姿勢を見つめ直した。

同校初の甲子園出場が決まれば、大学との「アベック優勝」がかなう。高橋監督も「もちろん常に考えています」と力を込める。先輩たちと同じ全国の舞台を目指し、激戦区・大阪を勝ち抜く。【望月千草】