勝利のバトンはつなげられなかった。

東学大付(西東京)は終盤にミスから逆転負け。2点リードで8回を迎えたが、秋留台の先頭を失策で出した。そこから1点を失い、1点差。9回は先頭を打ち取ったが、続く打者を捕手後逸による振り逃げで出すと、2安打2盗塁を重ねられ、2失点で逆転された。その裏の最後の攻撃は3者凡退だった。

時間がたっても涙が止まらなかった。主将の青島秀多遊撃手(3年)は「僕らの代は中学から野球を始めた人や、高校から始めた人もいました。先輩たちから『大丈夫か』と言われ、不安の中でも、みんな自覚を持って、練習メニューも考えながらやってきました。去年の負け(初戦で国際基督教大高に0-3の完封負け)を思うと、成長はしたのかな」と目を赤くしながら話した。この日は、2安打1打点1盗塁と気を吐いた。

都内で5つある野球部を有する国立高校の1つ。今年5月、5校による“国立リーグ”が立ち上がった。総当たりによるリーグ戦を実施。コールドルールを採用し、順位もつける。公式戦さながらの形式で緊張感を保ち、「5校全て夏1勝」を目標に掲げた。都立でも、私立でもない。国立は、グラウンド、練習時間、部員数など、制約が多い。みんなで協力して強くなろう、という狙いだった。合同練習やトレーニング法などの情報交換も行う。リーグ戦では毎試合、各校でMVPを選出。選手たちのモチベーションを上げた。

ここまで、2校が登場していた。先陣を切った筑波大付(東東京)は8日に敗れた(1-4葛飾商)が、11日に筑波大駒場(西東京)が勝利(7-2武蔵村山)した。試合前、東学大付・菅野晃監督(59)は「勢いをもらいました」と喜んでいたが、続くことは出来なかった。惜敗に「今年は3年生中心に、自分たちで取り組んだ1年だった。やってきたことは間違っていなかった」と選手たちをねぎらった。その上で「合同練習を一緒にやった仲。良い夏にして欲しい」と、13日に初戦を迎える東学大国際中教校(西東京)と東京高専(西東京)にエールを送った。

青島も「国立の5校で一緒に頑張ってきた。最後は悔いのないようにして欲しい」と、学校の枠を超えた仲間たちの健闘を願った。【古川真弥】