<高校野球西東京大会:立川3ー2工学院大付>◇18日◇4回戦◇府中市民球場

常に明るかった。工学院大付のエース渡辺充(あたる)投手(3年)は敗戦にも前を向いた。

9回1死満塁のピンチ。187センチの長身からストレートを投じると、打球は足元を抜け、中前へ転がった。サヨナラ負けを喫し「終わったな」とマウンドに崩れ落ちた。うずくまりながら「2-3X」のスコアボードを眺める姿が印象的だった。「逃げちゃいけない。次につなげたい」と目に焼き付けた。

太陽のように仲間を鼓舞した。母貴子さんが「昔から人なつっこい。誰とでもうまくやるんですよね」と語る人柄だろう。チームメートがダイビングキャッチで好捕すると、胸ぐらをつかみそうな勢いで駆け寄り、喜んだ。試合後には、何度も「申し訳ない」と繰り返した。「(チームメートに)もう少し楽しい思いをさせたかった。(応援に駆けつけた吹奏楽部やダンス部には)神宮で応援してもらいたかった」。自分を傍らに、みんなを輝かせたい思いがあふれた。

プロも注目する存在だが、進路は未定。いずれは「国を背負って戦いたい」と誓う。周りを照らし、自らも輝く太陽は、夢を追い続ける。【飯岡大暉】