＜高校野球西東京大会：東海大菅生10ー1日大鶴ケ丘＞◇23日◇準々決勝◇神宮球場

日大鶴ケ丘（西東京）の清野佑馬投手（3年）が、目いっぱい腕を振った。1－10となった東海大菅生戦の8回、なお1死一塁で、三塁手からマウンドに戻った。「2度目のチャンスをもらったんで、思い切り腕を振りました」。6球で後続を断った。しかし、8回コールドで終わった。

試合前、松葉づえ姿のエース松田賢大投手（3年）が清野を訪ねてきた。その第一声は「ごめん」。こう答えた。「勝つから」。今月2日、松田は体育の授業でバドミントンをプレー中、右足首を骨折した。選手登録は締め切られた後。背番号1を欠いて、マウンドは投手で入学し、2年春から内野手に転向した背番号6の清野に託された。「投手に戻ったのも運命かなと思った。松田の分もと思いました」。

骨折後初めて球場を訪れた松田は、スタンドの応援団に加わった。「だれより大声を出そうと思いました」。しかし、5試合目の先発となった清野は、4点を失い、2回1／3で降板。三塁手に回った。「緩急を使ったけど対応された。最初から、もっと腕を振ればよかったです」。

「代役エース」の夏は終わった。「野球を続ける方向で考えています。やるなら投手です」。マウンドは大敗で終わったが、清野の投手魂に火がついた。【米谷輝昭】