長崎大会では古豪・海星が圧勝して5年ぶり18度目の出場。2度のサヨナラ負けの屈辱をはねのけてつかんだ栄冠だった。

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海星ナインの笑みがマウンド付近で輝いた。屈辱を味わったナインの思いは、決勝の舞台で大きく花開いた。打っては12安打10得点。投げてはエース柴田蓮人投手(3年)が高校初の完投勝利で、5年ぶり18度目の夏甲子園。加藤慶二監督(45)は「このチームは勝負弱かった点もあったが、試合を追うごとに成長してくれた」と目を細めた。

主将の坂本芽玖理(めぐり)内野手(3年)が声を弾ませる。「昨年秋、今年春とサヨナラ負けした。昨年夏も決勝で負けた。みんながその悔しさをこの夏にぶつけた。苦しい時期もあったが、あきらめずボクに付いてきてくれた。感謝したい」。ノーシードからのスタート。初戦で強豪の波佐見に快勝すると佐世保実、長崎総合科学大付、長崎日大と並み居る強豪を倒して頂点をつかんだ。

接戦に弱かった。昨年秋は3回戦で長崎南山に延長10回サヨナラ負け。今年の春も3回戦で長崎商に9回サヨナラ負け。坂本主将も「練習の時から、こんなんじゃ、またサヨナラ負けするぞっとハッパをかけてきました」。2度のサヨナラ負け投手という屈辱を味わった柴田も「外ばかりの配球で打たれた反省でシュートを覚えた」とこの日の高校初完投勝利につなげた。

「バントのサインは出たことがない」という2番大串祐貴内野手(3年)が先制の得点を含む2本の二塁打をマーク。高校通算11本塁打の「2番・スラッガー」も打線をけん引した。坂本主将は「甲子園で勝つために練習してきた」と口元を引き締めた。古豪復活へ海星の夏は終わらない。【浦田由紀夫】

◆海星 1892年(明25)に男子校として創立の私立校。06年から男女共学。生徒数は1055人(女子359人)。野球部は1915年創部で部員は72人。甲子園は春5度、夏は18度目となる。主なOBに酒井圭一(元ヤクルト)、平田勝男(阪神2軍監督)らがいる。長崎市東山手町5の3。武川真一郎校長。