【機張(キジャン・韓国)8月31日】日本が南アフリカを投打に圧倒して2連勝を飾った。殊勲は最強の二刀流、西純矢投手(3年=創志学園)。「7番指名打者」で起用されると2本塁打を含む8打点と大爆発。初戦の貧打がうそのように15安打19得点と目覚めた打線を引っ張った。

1日の米国戦からは、1次ラウンド突破をかけた勝負の3連戦。「高校四天王」の西は本業の投手として連投も辞さないフル回転に備える。

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機張の青空に描かれた2つの放物線。大歓声を送った地元韓国の野球ファンは彼の“本職”を聞いて驚くだろう。西の力強い打球は南アフリカに浴びせた15安打の中でも際立っていた。

4回、左翼にライナーでたたき込むチーム1号3ランで勝負をつけた。6回はスラッガー特有の高い弾道で左翼に2ラン。犠飛、2点左前打と合わせて8打点に「できすぎ。2本目はちょっと狙っていました」とちゃめっ気を出した。

投手で「高校四天王」の評価を得ているが、打者でも実は全国トップ級。当初は木製バットに苦しんだ。26日の大学日本代表戦のあと、コーチらと対応を見直した。呼び込んで打つ意識に変え、韓国入り後に実践。状態が上向いた。

ムードメーカーもこなす三刀流だ。最も他国と会話しているのが西。前日の開会式では南アの選手に英語でテレビゲームの説明を必死にして、味方も相手もなごませた。実は2本目を浴びせたムポフ投手は一番の仲良し。打席で視線を送ると、相手も笑顔。直後に大飛球をかっ飛ばして「やっちゃいました(笑い)。でも精いっぱいプレーするのが国際交流。お互いの力を出せたのでよかった」。試合後は笑顔で抱き合い、健闘をたたえ合った。

バットで主役を張った男の役目は終わらない。9月1日の米国戦からは投手で本格待機する。負けられない残り3戦だが、連投もロングもお手のもの。「調子がいい。自分は投手がメインなので早く投げたい」。投打どちらでも頼りたくなる男が、日本にいる。