天理(奈良3位)が大阪桐蔭(大阪1位)を下し、5年ぶり9度目の近畿王者に輝いた。公式戦初先発の192センチの長身右腕・達(たつ)孝太投手(1年)が角度ある球で、8回途中4失点の快投。打線も3本塁打を含む先発全員の16安打12点で大勝した。県3位からの大躍進で来春のセンバツ出場を確実にし、明治神宮大会は16日の初戦で仙台育英(東北)と対戦する。

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まだ15歳の1年生。天理に再来した長身右腕が、強打の大阪桐蔭を倒す殊勲星を挙げた。達が先発を告げられたのは試合開始約30分前。「だいぶ緊張した」サプライズマウンドだったが、動じなかった。「腕を振ることだけ考えた。まっすぐで押せた」。すらっと伸びた長い手足から、角度を生かし、最速141キロの直球と変化球で大阪王者を手玉に取った。

「最初から飛ばした。相手が相手なので打たれても良い覚悟で」。強打者がそろう大阪桐蔭相手に初回、先頭を見逃し三振に斬った時、「通用する」と確信したという。2死からソロ本塁打を許したが、その後は持ち味を生かした。球威や落ちる変化球も駆使しながら凡打を量産。天理の「秘密兵器」が8回途中、被安打5で4失点と力投した。

整列すれば周囲よりも頭2つ分は飛び抜ける。父親は173センチ、母親は160センチ前半と平均身長だが、幼少期は「暇があれば寝てた」と1日約12時間睡眠で育ち、小6で177センチに到達。今大会のパンフレットも190センチの登録だが、2センチ伸びるなど高校入学後もまだまだ成長中だ。

OBで90年の夏の甲子園を制した190センチ超えの南竜次(元日本ハム)、谷口功一(元巨人)コンビをほうふつさせる長身右腕の再来。同じくOBで元近鉄、阪神の中村良二監督(51)は「身内はびっくりです。今日で期待しないといけなくなった」とうれしい悲鳴だ。29年前、全国制覇を導いた先輩に続く。【望月千草】

◆達孝太(たつ・こうた)2004年(平16)3月27日、大阪・堺市出身。浜寺昭和小4年で高石スワローズに所属し捕手。浜寺南中では泉州阪堺ボーイズに所属し投手。天理では1年夏からベンチ入り。192センチ、80キロ。右投げ右打ち。