帝京高3年の87年夏甲子園で史上20人目のノーヒットノーランを演じた芝草宇宙氏(50)の帝京長岡監督就任会見が15日、同校で開かれた。

監督としての本格始動は来年4月1日。18年4月から外部コーチとして同校野球部に関わってきたが、本腰を入れて強化に乗り出す。春夏甲子園出場はなく、18年秋に県4強入りも、今年は春夏秋の3季合わせて1勝しただけ。そこから「甲子園で勝つ」チームを構築していく。

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グレーのスーツで会見に臨んだ芝草次期監督はちょっぴり緊張の面持ちだった。しかし会見後、左胸に「Teikyo」と記した濃紺のジャージーに身を包んでグラウンドに出ると精悍(せいかん)な顔つきに一変した。アップしている選手たちを集めて来季の監督就任報告。「4月から監督に就任するけれど、(それまでも監督と)同じ気持ちで(今から)やっていく。全員が同じ目標、甲子園で勝てるチームを作ろう」。

昨秋に県4強に入った帝京長岡は今年、1勝しかできなかった。春の初戦2回戦で長岡工に3-2で勝利した。ところが夏の1回戦では糸魚川白嶺に3-4で敗れ、秋は初戦で中越に0-15の5回コールドで大敗した。浅川節雄校長(70)は「周囲からサッカー強いですね。バスケット強いですね。でも、野球がね…と言われる。その野球がね、を払拭(ふっしょく)したい」と話した。18年4月から部外コーチとして時折、指導の現場に顔を見せていた芝草次期監督も「中途半端な気持ち」を抱えていた。そんな両者の思いが合致し4月からの正式に監督就任。「新潟に腰を据えて全力でやらせてもらう」と意気込む。来年は監督に同校職員を兼ねる。

目指すのは「個々の能力を生かした野球」。今年のチームは低迷したが「選手が能力を最大限に発揮すれば来年から十分、甲子園を狙っていくチームになれる」と選手のポテンシャルの高さを知っていた。「帝京長岡を常勝軍団、常勝チームにしたい」。20年の県高校野球界は、芝草新監督率いる新生・帝京長岡が旋風を巻き起こしそうだ。【涌井幹雄】