71年夏の甲子園で準優勝した磐城(福島)が21世紀枠で選出され、甲子園は95年夏以来、春は46年ぶり3度目の出場を決めた。阿部武彦校長(60)から吉報が伝えられると、木村保監督(49)の目には涙がこみ上げた。「伝統校で自分もお世話になって恩返しができた」と感無量の表情だった。

昨秋は県大会3位で東北大会に出場。1回戦で東海大山形を完封で下し、27年ぶりの東北大会1勝を挙げた。2回戦では、能代松陽(秋田)を接戦で退け8強入り。同大会中には地元いわき市が台風19号で甚大な被害を受けた。ナインは大会終了後、台風で被災した地域でボランティア活動を行い地域貢献に努めた。岩間涼星主将(2年)は「一戦一勝で1つでも多く全国で勝って、地域に勇気や元気を与えたい」と力を込めた。

◆磐城の71年夏 165センチ、62キロの「小さな大投手」田村隆寿が日大一、静岡学園を5安打、郡山を8安打で3試合連続完封し決勝進出。桐蔭学園・大塚喜代美との投げ合いとなった決勝は、7回裏に1点を失い、0-1で惜敗した。カーブとシンカーを駆使した田村は大会4完投で35回、自責点1の防御率0・26。田村だけでなく平均身長170センチにも満たない選手たちの健闘は、ユニホームの色から「コバルトブルー旋風」と呼ばれた。