日本高野連が5日、第92回選抜高校野球(19日開幕、甲子園)の無観客開催へ向け、球児たちを新型コロナウイルスから守る対策の本格検討に入った。感染リスクを減らすため、初戦が遅い学校などは、試合前日入りしてもOKなど、滞在短縮プランを考えている。課題は山積みだが、開催可否を最終決定する11日の臨時運営委員会までに、可能な限りの対策を練る。一方、甲子園を経験したプロ野球選手は、球児にメッセージを贈った。

   ◇   ◇   ◇

球児の夢をかなえるため、高野連が動きだした。4日に史上初の無観客でのセンバツ開催への準備を進め、11日の臨時運営委員会で開催の可否を決めると発表した。小倉好正事務局長は「結構電話は鳴っていたけど、朝から打ち合わせをしていたので」と、鳴りやまない電話の呼び出し音に世間の注目の高さを感じながら、開催を実現させるための策を練った。

新型コロナウイルス感染者は甲子園球場のある兵庫・西宮市や隣の神戸市でも現れている。そのため、出場校の滞在期間縮小を考えている。集団になる機会を減らすために、リハーサル、開会式を中止した。例年のようにリハーサル前日までに各校が宿舎に入る必要がなくなった。小倉事務局長は「従来通りの取り決めとは違う対応、最終調整を今、急いでやっている」と話した。

雨天中止などがなければ、大会第6日の24日の1試合目に1回戦を行うチームは、リハーサル前日の17日から7泊して試合当日を迎える必要があった。だが、前日入り可能とすれば集団で6泊する必要がなくなり、感染リスクも減らせる。前日、2日前など、どこが適当かは、今後決めていく。宿舎での食事もビュッフェ禁止、2メートルずつ離れて取るようにとの要望は4日に出している。

八田英二会長が4日の会見で「1番大事なのは感染防止。99%まで努力して、彼らの夢の実現を手助けしてやりたい」と話したように、他にも課題は山積みだ。閉会式も極力簡素化する。試合は無観客だが、選手の就職先にもなるプロ野球のスカウトの扱いなども検討していく。ただ、改めて小倉事務局長は「大会期間を短くすることは話していない」と試合数などの変更は考えていないと強調。開催可否を決める11日まで、知恵を絞り続ける。【石橋隆雄】