ソフトバンク川瀬晃内野手(22)を兄に持ち、今秋ドラフト候補の最速147キロ右腕、大分商の川瀬堅斗投手(3年)が14日、同校グラウンドで9日の全体練習再開後初めてシート打撃に登板し、150キロを目指す夏の甲子園へ本格的なスタートを切った。

1カ月以上ぶりというシート打撃でもあり、3割程度の力でオール直球勝負を試みた。打者20人に対してキレを確認しながら投げ、空振りには「よーし」と叫び、気合を込めた。登板前には全体練習再開後初めて捕手を座らせ、5割の力でチェンジアップ、カットボール、カーブ、スライダーを投げた。「久しぶりにガッツリ投げた」という“本格再始動”に笑顔も見られた。

コロナ禍で活動自粛中だった3月11日、自宅のテレビで出場予定だったセンバツ中止を知り「頭が真っ白になった。悔しくて、すぐに切り替えられなかった」という。それでも「センバツで150キロ出すことを夢に描いていたので、できずに悔いが残る。夏に取っておく意味で、切り替えた」と、甲子園への思いを強めた。

昨秋のドラフト1位で広島入りしたOBの森下暢仁投手(22)から伝授されたカットボールやチェンジアップも武器に聖地を目指す。昨年は夏や秋に森下が大分に帰省した時に指導を受け、川瀬は「どうしたら直球と同じ投げ方で変化球を投げられるかとか、チェンジアップの握りや抜き方を習った」と言い、精度を向上させてきた。

渡辺正雄監督(47)はそんな川瀬のポテンシャルについて「タイプは違うが伸びしろは森下と一緒。だが森下にないエンジンの大きさ、ダイナミックさがある」と評す。熱心とされる巨人、ロッテ、日本ハムなど全12球団から注目を浴びる怪腕が、夢舞台へ力強く歩みを再開した。【菊川光一】