高校球児の聖地が夏も扉を閉ざした。日本高野連は20日、第102回全国高校野球選手権大会(8月10日開幕、甲子園)と第65回全国高校軟式野球選手権大会(同26日開幕、明石トーカロなど)の中止を決定した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今春のセンバツに続く中止決断に至った。地方大会に代わる公式戦開催は、各高野連の判断に任された。甲子園出場という最大の目標が奪われ、東北各県を代表する有力校の監督、選手たちは無念の思いをにじませた。

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仙台育英(宮城)は田中祥都主将(3年)、エース左腕・向坂優太郎(3年)、須江航監督(37)がオンラインで取材に応じ、「ここからが新たなスタート」を合言葉に前を向いた。

東北王者として出場権を得ていた今春のセンバツに続く中止決定を受け止める覚悟もしてきた。県独自の大会開催の可能性はあるが、田中主将は「もし試合が出来るなら1、2年生に残るものを試合で見せていきたい」。向坂も「練習が出来ない期間で自分に何が足りないのかを考えることが出来たので人としても成長出来た」と胸を張った。

同校は4月13日から休校となり、寮生も実家に戻った。フィジカルトレーニングの課題を共有して各自で取り組み、それ以外はアプリを使って部員全員でのオンラインミーティングを毎日継続。1時間を超える議論だけでなく、時には国内外の政治や医療を学び、映画や本なども紹介しあって知識も高めてきた。須江監督も「選手たちがチョイスする言葉の質が変わってきた。失ったものより得たもののほうが多いんじゃないかと思っています」。強さを増した心で、また仙台に集える日を待ち望む。【鎌田直秀】