明石商(兵庫)の狭間善徳監督(56)は「世の中がこのような状況なので命が一番大事。中止はいたし方ない」と受け止めた。だが「甲子園を目標に頑張ってきた3年生の気持ちを考えると残念です」と悔しさは拭えない。

4月8日からの休校以降、選手たちと顔を合わせていない。時折電話をかけ、言葉で選手を支えてきた。「選手には、学校が再開された時に、顔と目を見て話をしたい。そこで話したいのは入学した時からここまでのこと、先のこと、3年生には今後の就職や進学のこと、1、2年生には次の大会に向けてのこと…」。この2年半、ともに甲子園を目指した記憶を振り返ると、やりきれなさが募る。

18年夏から中止となった今春のセンバツまで4季連続の甲子園出場。151キロ右腕・中森俊介投手、強打者の来田涼斗外野手(ともに3年)のドラフト候補を擁し、強豪が集う兵庫県で無類の強さを誇ってきた。休校期間中は、全国から「夏があると信じて、応援に行かせて欲しい」、「明石商業が頑張っているから私も今頑張ってます」など激励の手紙も届いたという。

兵庫県高野連は、独自大会の開催について協議予定。「なんらかの形で選手には大会があればうれしい。もしあれば、メンバーは3年生だけで臨みたい」。最後まで、希望は消せない。【望月千草】