監督の涙で、ミーティングが止まった。天理(奈良)・中村良二監督(51)が選手の前で見せた今年2度目の涙は、うれし涙になった。天理市内での練習前、笠井要一部長(34)が選手に“夏出場”を伝えた。部長に続こうとして、声が詰まった。「この子ら、甲子園に出られるんやなと思ってみんなの顔を見たら、涙がこみあげてきて話せなくなりました。本当にありがたいです」。センバツ中止決定時は選手の無念を思って泣いた監督が、この日はうれし涙にくれた。

新型コロナウイルスとの闘いは、今なお続いている。それだけに今年、甲子園の土を踏む機会が巡ってくるなど予想だにしなかった。「感謝しかないです」と繰り返す言葉に実感がこもる。「あの場に立つからには、みんなに喜んでいただける天理の野球をしっかりやりたい」。周囲の尽力に、全力で応える。