<高校野球山形強化試合>◇13日◇荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがた

山形県有志9校による代替大会(7月11日開幕)の“予行演習”を兼ねた「強化試合」が13日、荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがたで行われた。

会場の人数制限や、試合前後の除菌の徹底など本番を想定。基本的にはトーナメント方式で、負けたチーム同士の対決や、時間短縮のための7回制や6回7点差コールド成立などの特別ルールで実施した。全国に先駆けた試みは、同県の代替開催に向けた確認だけでなく、各都道府県のモデルケースにもなりそうだ。14日も、一般客非公開により同球場で行われる。

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高校球児の歓喜の声が球場内に響き渡った。スタンドからの応援は自粛も、保護者の大きな拍手が選手を後押し。山形県の私立高校9校により、各学校長の許可のもと、全員が背番号を付けた全力プレーが帰ってきた。“開幕戦”で勝利した山形学院の高橋真希斗主将(3年)は「こういう場を作ってくれた関係者に感謝したいし、一時は野球が出来ないんじゃないかと思った時期もあったので、素直にうれしい」。自身も先制適時二塁打を含む3安打の活躍で、今冬に培ってきた強力打線を披露し、8-0の快勝に導いた。

発起人の1人の東海大山形・武田宅矢監督(41)は「選手、私たち教師や指導者、大会運営なども含めて、やってみないと分からない部分もある。練習試合解禁に合わせて、少しでも実戦に近い形が良いと思った」と説明した。試合会場や各学校とも入念な打ち合わせを実施。消毒液やタオルなどを準備し、試合前後には部員の「消毒係」がベンチなどを徹底除菌した。入り口と出口を分け、ロッカールームを使わずに外で着替えやミーティング。試合間のグラウンド整備も人数を限定した。

社会的距離(ソーシャルディスタンス)を考慮しながら、保護者の観戦だけは試行した。入場時に各学校ごとに記名をしてもらい、場所を外野席に限定。試合後は場内アナウンスで「●●高校と○○高校の保護者の方はご退場ください」。係員も誘導し、完全入れ替えには成功した。芝生席のため寄り添って座る場面も多く「エリアを内野席にして、いすを指定するほうがいいのかも」など、代替大会本番での収容実現に向けた意見が出たことも収穫だった。課題は、球場外の喫煙エリアが「密」になってしまったことなど。検温や除菌も徹底し、プロ球団のスカウトや大学関係者、報道陣の入場も認めた。

現在は47都道府県の高野連が独自の代替開催に向けて準備、検討を進めている。東海大山形の畑中悠哉主将(3年)は「1つ1つのプレーが楽しかったし、代替大会もみなさんの協力があるからこそ出来る。いまは前を向いて最高の夏にしたいと思えている」。山形学院の滝公男監督(64)も「試合用ユニホームに背番号をつけて大会形式でやることで見えることもある。良い企画だったと思う」。さまざまな代替開催への参考材料となりそうだ。【鎌田直秀】