<高校野球練習試合:近江-滋賀学園>◇20日◇近江グラウンド

今秋のドラフト候補、近江(滋賀)の土田龍空(りゅうく)内野手(3年)が20日、プロ入りへアピールするために木製バットで、最後の公式戦となる滋賀県の独自大会(7月18日開幕)に出場することを明かした。

近江グラウンドで活動再開後初の練習試合。ダブルヘッダーの相手は夏1回、春2回甲子園出場の滋賀学園。3番遊撃手で2試合ともフル出場した土田は両チームでただ1人木製バットを持って左打席へ。2試合で6打数4安打4打点。第1試合の初回、1打席目に中越え二塁打を放つと、3回の2打席目には右翼へ2ランを放った。

高校通算28本目は木製1号。相手右腕のスライダーをとらえた打球は、乾いた打撃音を残し、右翼98メートルのフェンスを軽々と越えた。「木でも打つ自信はありました。(独自大会も)木でいきます。通算30号はいきたい」。すでに滋賀県高野連にも木製バット使用可能を確認をしている。「間違った打ち方をすると折れる」。1試合目の3打席目に投手強襲安打を放った際、愛用の重さ910グラムのレイズ筒香モデルが折れてしまった。だが、すでに同モデルを、大会に間に合うように発注しているという。

新型コロナウイルスの影響による活動停止期間が転機となった。社会人西濃運輸の先輩から、木製バットでの打ち方を学んだ。多賀章仁監督(60)は「左の股関節に重心が残り、強引にいくことがなくなった。木製であれだけ打てる選手は見たことない」と驚く。過去、甲子園で愛工大名電(愛知)がバントで打球を殺すために使用したことなどはあるが、通常の打席で使用するのは異例。1年夏、2年夏と甲子園に出場した土田には、すでに10球団が視察、マークしている。木製バットでプロ入りの夢をこじ開ける。【石橋隆雄】