釧根地区で代表決定戦が行われ、武修館が釧路工に4-3で競り勝ち、全10地区で最初の道大会出場を決めた。エース右腕の中谷晃(3年)が134球を投げ3失点完投。同点に追いつかれた直後の7回1死三塁では、自らの遊ゴロが相手野選を誘い決勝打に。背番号1の1番打者が、1点差での北北海道大会進出に貢献した。

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以心伝心の“連係プレー”だった。3-3の7回1死三塁、打席には1番中谷。三塁には代走の切り札、坂口遥斗(3年)がいた。中谷は「坂口の足なら前に飛ばせば、返ってこられると思った」。打球が相手投手の脇を抜けた瞬間に、坂口が猛ダッシュ。50メートル6秒7の俊足を飛ばし、本塁へ頭から滑り込み、渋い決勝点が生まれた。

中谷は「内野ゴロで1点を取る。6月の練習再開から徹底してきた」。坂口も「ゴロかライナーかで、行くか戻るかすぐに反応できる。やってきたことが生かせた」。4点のうち安打での得点は1点のみ。犠打で1点、内野ゴロのすきを狙って2点をもぎ取った。エースを軸としたそつのない攻撃で、道大会一番乗りを果たした。

投手では珍しい1番打者。小林正人監督(32)は「中谷は焦らずにボールを見てくれる。情報収集に貢献してくれている」と言う。1点ビハインドの第1打席は6球投げさせ二ゴロ。追いついた後の5回の3打席目は2球目を痛打し中越え二塁打。追いつかれた直後の7回の4打席目は、ファウルで粘り5球目を転がし野選を誘った。じらすか行くか。相手心理を読み、勝機を引き寄せた。

投球でも、ひと皮むけた。昨秋全道では、初戦の帯広農戦に先発し、バント処理のミスで走者をためた直後に複数失点。9回7四死球8失点で敗れた。この日は初回と7回に相手バントを二塁で刺し、流れを引き渡さなかった。「フィールディングには注意した。秋の失敗が生きた」。職人のように1プレーを丁寧にこなし、特別な夏を奥深く、堪能する。【永野高輔】

▽武修館・迫田夢人主将(3年=3回2死二塁から右越え適時三塁打)「何とか1本打てて良かった。北大会で1位になれるよう、地区大会での課題を持ち帰り克服したい」