今夏の甲子園大会の代替となる独自大会が29日、全国各地で行われ、鹿児島は神村学園が国分中央を12-2で下し、昨年に続いて夏を制した。プロ注目の二刀流、最速149キロ右腕の桑原秀侍投手(3年)は「3番遊撃」で先発し、推定飛距離125メートルの決勝ソロ。9回途中から救援登板し、剛球で締めくくった。

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桑原が最後の夏を剛球で締めた。9回1死一塁で遊撃からマウンドへ。初球に148キロをマークし、2球目も148キロで押し込んで二邪飛。最後の打者は146キロで捕邪飛に仕留め、歓喜の輪に包まれた。打者2人を3球で料理。「甲子園がなくて残念ですが、3年生全員で全力プレーができた。一生の思い出ができました」とニッコリ。今大会は3年生21人だけで臨み、決勝は全員が出場。仲間たちの思いを代弁した。

決勝点もたたき出した。同点に追いつかれた直後の3回。先頭で打席に入り「変化球狙いだった」が直球を捉え、バックスクリーン右へ運ぶ推定125メートル弾。「まさか入るとは思わなかった」という高校通算17号が口火となり、1死からの4連打など打者一巡で4点を奪った。その後も攻撃の手を緩めず、桑原は5打数3安打の猛打賞。終わってみれば17安打12得点の圧勝だった。

スタンドで応援した父宏侍さん(52)が「負けず嫌いで、火がつくと闘志むき出しになる」と話す根性の持ち主。中学時代に所属した熊本中央ボーイズの仲間は、地元の名門・九州学院、明豊(大分)、横浜などに進学しており、ライバルたちの存在も糧だった。3球団のスカウトが視察する前で、プロ入りに向けて大きなアピールにもなった。【菊川光一】

▽オリックス縞田スカウト(桑原に)「(本塁打は)詰まった感じだったが腕っ節の強さがある。あそこまでは力がないと飛ばない。投手としても打者としても、魅力がある。能力が高く楽しみです」

◆桑原秀侍(くわはら・しゅうじ)2002年(平14)5月29日、熊本市生まれ。野球は泉ケ丘小3から中島サンダーズで本格的に始め、湖東中時は熊本中央ボーイズでプレー。中3時に日本代表として世界大会出場。神村学園では1年秋からベンチ入りし昨夏10番。174センチ、75キロ。右投げ右打ち。