仙台は4-1で東陵に逆転勝ちし、甲子園初出場の98年(平10)以来22年ぶり2度目の「夏決勝」進出を果たした。初戦から5連投のエース左腕・鎌田健太郎(3年)が7安打1失点完投。打線も計9安打中6安打を3、4回に集中させ、ここまで無失点を続けてきた東陵エース佐藤柳之介(3年)を打ち崩した。仙台育英は7-1で仙台一を下し、夏4連覇に王手をかけた。

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仙台が学校創立と同じ創部80周年の夏に、決勝まで駆け上がった。3点リードで迎えた9回2死、最後の打者を中飛に仕留めた鎌田は、軽快な足取りでマウンドを駆け降り、チームメートと喜びを分かち合った。石垣光明監督(57)は「気持ちも体もぶれなくなり、安定してきた」とエースの好投を評価した。

準々決勝まで31回無失点を続けてきた東陵・佐藤柳之介(3年)との剛腕サウスポー対決。2回表、3連打で先に1点を失ったが、「いい投手と聞いていたので意識していましたが、とにかく低めに球を集めて落ち着いて投げることだけを考え、最少失点に抑えられました」と自らの投球に徹した。

打線は3回裏2死二塁、4番加藤大成内野手(3年)の左前打で同点とし、続く2死二塁から5番大久保壮隆主将(3年)の右前打で勝ち越した。鎌田は「祈るような思いでした。(逆転して)心にも余裕ができて次は自分の番かなと思った」と3回以降を無失点に抑えた。9回裏、中堅守備で中飛の勝利球も捕球した大久保主将は「2-1で勝つ予定だったので1点取られたのは想定の範囲内」とポジティブに振り返った。

明日8月1日の決勝は、昨夏の準々決勝で0-3で敗れた仙台育英と戦う。鎌田にとって6安打3失点13四死球で完敗した因縁の相手だ。決勝舞台の楽天生命パークは、楽天シニア出身の鎌田にとって、かつてのホーム球場。仙台育英にはシニア時代の同期もいる。次も相手エース向坂優太郎(3年)との左腕対決になりそうだ。鎌田は「(楽天生命パークのマウンドは)持っている力以上のものが出せる。全部出し切って倒したい」と力を込めた。【佐々木雄高】