エース沖政宗投手(3年)が今大会初登板した磐城が学法石川に競り勝ち、準々決勝進出を決めた。沖は先発し6安打2失点と踏ん張った。8回無死満塁のピンチで降板も、2番手の佐藤綾哉投手(2年)が無失点で切り抜け、辛くも逃げ切った。

最初のヤマ場に間に合った。公式戦は昨秋の東北大会以来約9カ月半ぶり。コロナ禍で練習自粛、再開を繰り返す中、不調に陥った。「思っているイメージと体が連動しなくなった」。体調も完全ではなく、チームを離れ整体などに通うことが多かった。2、3回戦を回避しての登板。初回に先制されたが慌てなかった。5回裏2死満塁のピンチでは、足がつりそうになり、自らタイムをかけて給水。5番小貝優光内野手(3年)をスライダーで三振に仕留めた。冷静さを失わず、巧みな投球術でしのいだエースに渡辺純監督(38)は「投げていく中で試し試しできるのが彼のすごいところ」とうなった。

最速141キロもこの日は135キロ止まり。「4点取って投げやすい環境にしてくれた。稜哉はいつも僕の尻ぬぐいをしてくれる。みんなに感謝です」。次は夏の福島13連覇中の聖光学院に挑む。「しっかり準備したい」と、中1日の難敵撃破に気持ちを切り替えた。【野上伸悟】

▽学法石川・佐藤日翔投手(3年=4番エースは2年から主力でチームを引っ張る)「最後は笑って終わりたかったけど全力でできた。大学でも野球を続けて、さらに上のレベルでもやりたい。磐城には福島のてっぺんを取って甲子園交流試合に行ってほしい」