阪神田中秀太スカウト(43)の長男、報徳学園の田中太晴マネジャー(3年)は、チームの目標である秋から兵庫県の公式戦で無敗のまま終えることを達成し笑顔だった。

8強止まりの今大会は、この日の5回戦で終わり。試合終了の瞬間、ナインは猛ダッシュでマウンドへ行き喜びを爆発。その姿をベンチから見届けた。「みんなと一緒に行きたかったですけどね。勝って終われて、すごくうれしい。このメンバーでやるのは、この日が最後だったので」。スタンドの保護者席には、父の姿もあった。

今大会中に主将の三宅雄雅外野手(3年)が右肘を痛めた。主将と一緒に、田中マネジャーはスコアをつけながら、大きな声でナインを励ました。マウンド上のエース坂口翔颯(かすが)投手(3年)からは、体を大きくしたいとリクエストされ、練習中に補食として食べる白米を、ほかの選手の1・5倍に、ギュウギュウに詰め込んで渡していた。「冬を越えていい体になったと思います」とエースの成長を喜んだ。

新型コロナウイルスの影響で、練習再開後は補色の米を炊くこともできなかった。夏の全国高校野球選手権大会も中止となり、落ち込むナインに「甲子園がないから頑張らないのは報徳じゃない」と、自宅待機で会えない時期にアプリを通じてみんなに気持ちを伝えた。

「これで終わりは正直、さみしいです」と話す田中マネジャーは大学進学後も野球部のマネジャーを続ける予定だ。父秀太さんは「報徳で成長できた。仲間とも会えてよかった。お疲れさまと言いたい」と、マネジャーとして入学し3年間、裏方としてチームを支えた息子をねぎらった。