全国高校野球選手権の代替となる県独自大会が2地区で行われ、千葉は木更津総合が2年ぶりに夏の頂点に立った。エースで主将の篠木健太郎投手（3年）が最速149キロの真っすぐと130キロ台のスライダーを武器に4安打7奪三振で1失点完投。先制打を放つなど、投打にわたる活躍だった。埼玉は4地区の決勝が行われ正智深谷、浦和学院、昌平、狭山ケ丘が準決勝進出を果たした。

篠木のトレードマークの笑顔が、うれし涙に変わった。9回2死、打ち取った三ゴロが一塁手のミットに収まるのを確認すると、笑顔で両手を突き上げた。チームメートにもみくちゃにされながら、笑顔は涙に。「2年ぶりの優勝は最高です」。喜びをかみしめた。

気持ちの強さが武器だ。5回には同点ソロを浴びたが、専大松戸の西村との投手戦に1歩も譲らず。2－1で迎えた8回には、1死一、二塁、一打逆転のピンチにギアを上げた。「ここが勝負」。力のある直球で二ゴロの併殺打に打ち取り「イエーッイ！」と雄たけびを上げた。五島卓道監督（66）は「今年は篠木のチームでした。勝負強い」と脱帽した。

強く、たくましく成長した。鋭く曲がるスライダーと最速150キロの真っすぐで昨年は県NO・1投手と評価されたが、あと1歩で甲子園を逃し涙に暮れた。今冬は、早川（早大）山下（法大）と甲子園に導いたエースの映像を見て手本にした。「自分と違ったのは、周りを見る力があること」。主将を任され「笑顔」をテーマに掲げると、ピンチにも笑顔を見せ、周りを見る目を養った。

1年時は先輩の後ろをついて歩き「オネエみたい」とかわいがられる存在だった。「主将を経験してチームが勝つ楽しさがわかった。僕は、人に使った時間は自分に返ってくると思っている。成長できた3年間でした」。精悍（せいかん）な表情が成長を物語る。今後は大学進学を希望しさらなる進歩を目指す。【保坂淑子】