秋季高校野球北信越大会に挑む加茂暁星は、エース浜谷直生投手(2年)がチームをけん引する。県大会では初優勝するまでの7試合ですべて先発。3回戦から決勝までは5試合連続9回完投(完封1)した「鉄腕」だ。目を見張るような速球は持ち合わせていないが、絶妙な配球と制球が持ち味。初戦の東京都市大塩尻(長野3位)から、北信越を勝ち上がっていく。

   ◇   ◇   ◇

浜谷は頭脳派の投手だ。「直球が140キロ出るような投手ではない。自分よりいいスライダーを持っている投手もいる」と冷静に自分の資質を把握した上で打者に対抗する。持ち球は最速132キロの直球と、スライダー、カットボール。絶妙な配球でそれぞれのボールを生かす。「最初から最後まで同じ投球をしていたら打ち込まれる。試合中に(斎藤大優)捕手と細かく話し合って、配球をどんどん変えていく」。マウンドでも、ベンチでも頭を働かせている。

高橋諒監督(26)は「投球の組み立ての相談にきたこともある。反省して改善する意欲がある」と意欲を評価する。「県大会前は継投も考えていたが、7試合で全然違う投手になった」と成長にも言及。投球フォームはスリークオーターだが、高校に入って横手、上手を試して一番投げやすい形に固めた。投手に転向したのは新潟西シニア時代の中2から。左翼からの好返球を見た指導スタッフに見いだされた。キャリアは浅いだけに大舞台、北信越でさらに成長する余地も残す。

初戦の東京都市大塩尻戦に勝てば2日連投になる。しかし、問題視していない。県大会の16日間で投げたのは7試合51回716球。全試合に先発し、3回戦以降は5試合連続9回完投した。そんなハードワークも涼しい顔で「しんどい試合も楽しく投げている」と言う。北信越は県大会と同様、冷静な投球を意識する。「相手が打ち気になっている時はセットを外すなど、考えながら投げたい」。相手打線を自分のペースに引き込んで勝利を狙う。【涌井幹雄】

◆浜谷直生(はまや・なおき)2003年(平15)10月8日、新潟市生まれ。野球は新通小2年から新通坂井東野球団で始める。坂井輪中学では新潟西シニアに所属。投手になったのは中学2年から。高校では昨秋県大会からベンチ入り。右投げ右打ち。172センチ、65キロ。血液型B。