集合した東海大菅生ナインに、峰岸英仁校長から出場決定が伝達された直後だった。若林弘泰監督(54)から声が飛んだ。「目標は(甲子園に)出ることじゃないだろ」。ナインが応える。「日本一です」。チームは昨夏(代替大会)、昨秋と負け知らずで東京を制してきた。

「出場が決まってうれしいです」。声を弾ませたのは小池祐吏三塁手(1年)だ。DeNA小池正晃コーチ(40)の長男で、前日28日に電話で話した。「発表は明日。今の気持ちは? と聞かれて。同じ舞台に立てるのは誇らしいと思います」と話した。

父は98年に横浜の一員として春夏連覇を果たしている。「優勝のビデオは家にいっぱいある。何回も見ました。目標は高いですが、日本一です」。コロナ禍の中、寮生の小池は外出できない日々が続くが、その分バットを振り込んでいる。「1日最低500回。納得いくまで振ってます」。

東海大菅生は春未勝利ながら、17年夏には甲子園4強まで進んだ。若林監督は「あれは夏で仕上がったチーム。この時期で比べると今のメンバーがいい。1年生も腹がすわって」と手応えを感じる。小池は「守備力も長打力もつけたい。父は高校で本塁打26本、僕は2本なんで」。負け知らずの1年生が、尊敬する父に並ぼうと、初舞台に挑む。【米谷輝昭】