天国で見守る木内幸男元監督(享年89)へ向け、選手たちは元気に拳を突き上げた。5年ぶり10度目となる吉報を受け、常総学院の島田直也監督(50)は「87年に僕が木内さんに甲子園へ連れていってもらった。今度は、僕が連れていきます」と青空を見上げた。

名門復活へ-。島田監督は昨年3月、投手コーチに就任し、7月26日からは監督として指導にあたった。「相当、プレッシャーがありました」。元プロ野球選手だからすぐに勝てるのではないか。周囲の目が気になった。関東大会に出場すると、眠れない日々が続いた。そんな時、YouTubeで木内元監督が指揮する常総学院の試合を見たという。「自分が高校時代に言われたことを思い出した。あらためて木内監督は僕の中にいるんだと思いました」。恩師は、1人1人の行動を見て長所を見つけ、試合に生かせるよう指導をしていた。「僕も、木内監督のように選手の長所を生かしながらやればいい」。ヒントを得、人間観察して選手たちとの会話も重視。時に褒め、時に厳しく。笑いも交えた島田流も加えた。関東大会では、伸び伸びと力を発揮し準優勝をつかんだ。

恩師とともに戦う。87年夏、選手として甲子園準優勝を果たし、今年、指導者として甲子園に戻る。「本当に幸せなことだと思います。これからはセンバツに向けて恥ずかしくないチームを作らなくてはいけない。天国の木内監督にいい報告ができたらいいなぁ」。常総学院のレジェンドが、いよいよ全国の舞台へ。恩師への思いを胸に、名門復活へ導く。【保坂淑子】