神港学園が神戸国際大付に競り勝ち、24年ぶり3回目となる春の県大会優勝を果たした。エース加藤大投手(3年)が3試合連続完封。29イニング連続無失点の快投締めで、22日開幕の春季近畿大会(滋賀・皇子山)に駒を進めた。昨秋の県大会王者でセンバツに出場した神戸国際大付はあと1本が遠く、惜敗した。

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古豪とは呼ばせない。春の兵庫戦線に、24年ぶりに神港学園の勝ちどきがとどろいた。立役者はエース右腕の加藤だ。1点リードの6回1死満塁。3番武本琉聖内野手(3年)を速球で見逃し三振に、4番西川侑志捕手(3年)をスライダーで空振り三振に仕留めた。「ピンチこそ冷静に、と。低めに集めて打たせて取る。三振は結果です」。センバツ出場校を4安打7奪三振シャットアウト。報徳学園、神戸弘陵戦から3戦連続完封だ。

帽子を飛ばす力投派は、市尼崎戦から29イニング連続無失点。自己最速139キロの速球でコーナーを突き、落ちるスプリットも効いた。北原直也監督(41)は「しんどい試合でした。今日が一番、落ち着いて投げられていた」と評価。高校球界は継投がトレンドだが、県大会5試合を1人で投げ抜いた。

加藤は屈辱を乗り越えて頂点に立った。春先の練習試合。智弁学園(奈良)戦で13失点、智弁和歌山にも「8、9失点…」と悪夢を振り返る。「力で行っても打たれるのが分かった。冷静に投げることが大事だと思った」。甲子園常連校の胸を借り、己を知った。

神港学園は春5回、夏3回の甲子園出場を誇るが、10年春を最後に遠ざかる。加藤は「相手が研究してくるし、レベルアップして投げ勝てるように。チームの目標は甲子園に出て優勝すること」と言った。元阪神藤原通(現阪神2軍マネジャー)と同校で同期の指揮官は「冬から、この春、今日の決勝に勝つのを目標にしてきた」と明かす。03年以来の夏の甲子園へ。喜びを力に変え、復活のノロシを上げた。【酒井俊作】

▽神港学園・藤原任冶(とうや)内野手(5回に決勝の右翼線適時二塁打) 逆方向に打つ意識でしたが変化球に対応できた。とにかく早く1点取ろうと。