負けたくない--今秋ドラフト候補に挙がる東海大相模・石田隼都投手(3年)の闘志に、静かに火がついた。

1回表、ベンチ前でキャッチボールをしながら見つめる視線の先には、マウンドに上がる畔柳亨丞投手(3年)の姿があった。初回から150キロを計測。「すごいなぁ…」。石田は心の中でつぶやいた。昨夏の交流戦、そしてセンバツ優勝と経験豊富な左腕は、冷静に気持ちを切り替えた。「気持ちで負けていたら、勝てる試合も勝てない。自分が試合を作る。自分のできること。自分の投球ができればいい」。

初回からテンポよく、力強い真っすぐとキレのある変化球で打たせて取った。唯一のピンチは3回。先頭の日比脩斗(2年)に、右前打され、犠打で二塁への進塁を許したが後続をしっかりと打ち取り三塁を踏ませず。この日の最速は141キロながら、危なげない投球で3回を投げ1安打無失点に抑えた。

成長を実感した。春の県大会は3回戦、平塚学園戦で抑えで1回1/3を投げたのみ。「その分、レベルアップのために、ピッチングやトレーニングに多く時間を使うことができました」と振り返る。課題は変化球のキレを上げること。トレーニング、走り込みで体を鍛え直し、腕の振り、リリースを確認しながら投げ込んできた。緩急をつけ早いカウントで打たせて取る。「ピンチの時の武器が増えたと思う」と手応えをつかんだ。

「150キロを間近で見て刺激になりました。これからどれだけ成長できるかが夏にもつながると思うので。今日の試合を忘れずに、明日からつなげていけたらと思います」。自分らしさを追求し、成長続ける石田。夏の連覇をしっかりと見据えている。