新発田のキーパーソンは左腕の大越直人投手(3年)だ。打順もクリーンアップの一角を担い、投打で勝敗のカギを握る。NHKでキャスターなどを務める健介氏(59=新潟高OB)は叔父。79年夏ベスト8だった右腕の叔父が届かなかった甲子園出場を左腕エースが狙う。初戦2回戦(7月13日)の相手は羽茂だ。

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夏の開幕を誰よりも心待ちするのが大越だった。「ずっと投げられなかったので、投げるのが楽しい。喜びと感謝です」と公式戦マウンドへ、心を沸き立たせていた。左肘腱(けん)の炎症でノースローが続いていたが、6月中旬から投球を再開。2時間41分間の降雨中断を強いられた春季県大会2回戦・新発田中央戦(1●5)で発症した故障はほぼ完治した。「全力で投げる」と言い切った。

130キロ台前半の直球をコンスタントに投げ込む。春は2試合17回を投げて14安打14三振の9失点(自責4)で防御率は2・12。春に見つけた課題を意識しながら練習する。「初球の入りが甘く、そこを狙われた。序盤の失点も多いから立ち上がりもカギ」。初戦2回戦で対戦する羽茂には、春の新津工戦で9回14奪三振の右腕エース風間晴斗投手(3年)がいる。左右エースの投げ合いは必至だが、クリーンアップの一角として右腕攻略も狙う。

叔父の健介氏は東大時代に東京6大学野球リーグで通算8勝27敗した右腕。国立大生として初めて日米大学野球代表にも選出された。新潟高3年時の春は準Vだったが、甲子園に挑んだ夏は8強止まり。「小さいころキャッチボールしたことが、たぶんある」という叔父の成績を上回る県の頂点を新発田で目指す。「味方を信頼しているけれど、野球にミスはつきもの。それをカバーしてこそエース。淡々と投げたい」。大黒柱の自覚を持って大越は夏を迎える。【涌井幹雄】

◆大越直人(おおこし・なおと)2004年(平16)3月14日、新潟市生まれ。東石山中卒。野球は小1秋から軟式野球の南ビッグファイヤーズで始める。中1からは硬式の江南シニアに所属。高校では1年秋にベンチ入り。2年秋から背番号1。左投げ左打ち。176センチ、70キロ。