“ダブルエース”を軸に勝ち上がっていく。全国高校軟式野球宮城大会に出場する仙台商は、5日に気仙沼との初戦を迎える。左の山田蓮(2年)、右の星健輔(3年)の両投手がチームの原動力となる。昨秋は県準V、春は県4強止まりと悔しい結果に終わった。夏での巻き返しへ-。狙うは東北王者での全国選手権(8月25日開幕、明石トーカロ球場)出場だ!

仙台商は“ダブルエース”で全国切符をつかむ。初戦を明日5日に控え、左右の両投手が意気込みを口にした。左のエース山田は「3年生が笑って終われるような形で投球をしたい」と話せば、最終学年の右のエース星は「これまでやってきた成果を出し切りたい」と決意を新たにした。

頼れる先輩、後輩でもあり、ライバル関係として互いを意識し合ってきた。星は本音を口にする。「(山田が)公式戦で好投すればうれしいんですけど、練習試合で好投すれば自分もやらなきゃっていう気持ちになる。良いライバル関係です」と言い切る。普段の練習でも刺激をもらい、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。

山田はツーシームを武器に打たせて取る。中学2年時に習得した最大の武器を、右打者には外角へ逃げるように、左打者には内角へ食い込むように巧みにコントロールする。星は強気な投球が持ち味だ。チームを代表する背番号1は、下級生の山田が背負う。上級生の星は闘争心をみなぎらせた。「夏の県大会で結果を出して(背番号1を)取り返したい」とチームの優勝を第1優先に、エースナンバー奪取を誓った。

昨夏は全国選手権が中止となり、今夏は7大会連続での全国大会出場が懸かる。山田は「背番号1を背負うことにプレッシャーはあるが、コントロール重視で打たせていきたい」と力を込めた。星は「昨秋と春は成績が残せなかった。夏は最後なので全国大会に出場したい」。ともにしのぎを削ってきた両腕がチームを勝利に導く。【佐藤究】

○…創部初の“女子球児”が誕生した。加藤美咲内野手(1年)だ。入部当初はマネジャーだったが、西山康徳監督からの打診もあり選手に転向した。加藤は「かなり悩んだのですが、野球は好きだったので、やってみようと思った」。小学5年から野球ファン。楽天の試合は50試合以上、現地観戦したという。中学ではソフトボール部に所属。指揮官は「男子に比べて、まだスピードと力はないのですが、同じ練習についてきている。(気持ちは)男子より強いかもしれない」と目を細めた。加藤は「公式戦には出られないですけど、練習試合には出してもらえるので、ヒットを1本は打ちたい」と笑顔で抱負を口にした。

○…東海林美緒マネジャー(3年)にとっても最後の夏となる。1年秋に陸上部から転部してナインを支えている。球拾い、ノッカーへのボール渡しなど仕事は多岐に及ぶ。最後の大会はスコアラーでベンチ入りする。「チームの雰囲気が良かったので、マネジャーになった。最後の大会で全国に行きたい」とナインに期待を寄せている。