<高校野球千葉大会:佐倉3-1船橋古和釜◇10日◇1回戦◇成田市大谷津球場

初戦突破した佐倉のスタンドからは、短期留学生のドミニク・シェフラー投手(2年)が拍手で選手たちを鼓舞した。初めて経験する夏の高校野球。「楽しかったです。先発した(藤田)俊平さんの投球がよかったです」とチームの勝利を喜んだ。

昨年11月中旬「日本の野球を学びたい」と来日した。身長190センチ、82キロで140キロ超の最速と、落差のあるカーブを武器とする左腕で、スイスのU-18、U-23代表チームに選出されるほどの逸材だ。小5で所属チームの遠征で来日経験があり、千葉県成田市で行われた野球教室に参加。日本の野球に魅了され留学を切望。昨秋、実現した。

日本の野球がドミニクをひとまわり大きくした。「コンディションの整え方、アイデア。走者を出した時、どうアプローチして攻撃するのかが違いました」。細かいプレーに対応するため、制球力を磨き配球を学んだ。早朝6時からの朝練習にも参加し、日本独特の反復練習でメンタル面も鍛えた。「スイスは基本的に初球は真っすぐ。でも、日本ではそこを狙われてしまうので、変化球をうまく使えるようになりました」。野球の幅が広がり、成長を実感している。

練習試合では短いイニングで登板。堀内幹仁監督は「(短期留学生のため)残念ながら公式戦では登板できませんが、間違いなくうちのチームでは1番の投手です」と太鼓判を押した。

チームへの影響力も抜群だ。先発した藤田俊平投手(3年)は、ドミニクが熱心に取り組む姿勢に影響を受け、隣で練習。真っすぐの強さを学び、この試合では自己最多の三振16を記録した。

コロナ禍で、予定していた日本観光はすべてキャンセルに。休日はもっぱらホストファミリーの自宅でゲーム。それでも「野球に集中できるいいチャンス」と前向きに捉え、練習と向き合った。「友達もたくさんできた。日本留学はいい経験。次の試合も、今日みたいに守り勝って欲しい」と、チームに期待を寄せた。夢はメジャーリーガー。日本で学んだ野球を胸に、世界に羽ばたく。