天理(奈良)の「背番号1」をつけた森田雄斗投手(3年)が先発し、奈良朱雀・奈良商工を7回1安打9奪三振無失点に抑え、初戦を7回コールドでの大勝に導いた。

力ずくで投げなくても球威たっぷり。振り遅れの空振りも多く、まともに打たせない。中盤は5者連続奪三振。最速143キロ左腕の独壇場だった。

発奮材料は背番号だ。森田も「真っすぐで押していけた。無駄な力をなくして負担を減らす。それができている」と話し、エースナンバーを背負うことを「責任を持ってやるしかない。『達の方がいい』と言われないように結果を出していかないと」と気合十分だ。

天理は大会前、選手間投票で背番号を決めるのが恒例だ。今夏も、3月のセンバツで4強に導いたエース達孝太投手(3年)が最多得票。だが、同29日の仙台育英戦で左脇腹を負傷後、長く別メニューだったため、中村良二監督(53)の判断で森田に1番を託した。「春から、すごく調子がいい。背番号通りの活躍をしてくれた。(達も)当然、ベンチに入るし、主力として投げる」と説明した。

今秋ドラフト候補の達は「背番号11」を背負い、8回から登板予定でベンチ前で準備したが、目前で試合終了。複数球団が視察する前で出番がなかった。「背番号で野球をしているわけではない。(尊敬するパドレスの)ダルビッシュさんと(背番号が)一緒。逆に自分のなかでいい」。すでに実戦を重ね、146キロまで復調。「次の目標は甲子園で優勝すること」と先を見据えた。【酒井俊作】