日本航空は和田航弥内野手(3年)の2打席連発など3アーチで9点を奪い、主戦ヴァデルナ・フェルガス投手(3年)から東谷星哉(3年)、左腕・小沢耕介(3年)と継投して東海大甲府の反撃を抑えた。9回には木下凌佑外野手(3年)のレフトへのライナー処理を巡り、審判団がセーフからアウト、さらにセーフと判定が変わり(記録は二塁打)、混乱した中で小沢が後続を1点に抑えた。

試合後の豊泉啓介監督(36)は「判定についてはノーコメントでお願いします」と、丁寧に断ってから試合を振り返った。「予想外の長打が出て、思っていた展開じゃありませんでした。食らい付いて1点ずつ取りに行こうと思ってましたから」と、うれしい誤算に表情が和らいだ。

2打席連発で今大会4本塁打となった和田は「つないでいこうと思い打席に入りました。力を抜いてスイングできたのが、良かったのかもしれません。それにしても2打席連続は高校では練習試合を含めて初めてです。驚きました」と、笑った。

先発のヴァデルナも5回を7安打4失点と打たれたものの、リードを保って継投に託した。「まだスピードが遅いですね。春から自分のボールに自信を持てるようになってきました。決勝では先発かどうか、まだ監督さんに言われていないから分かりません」。

6月上旬に学校の寮でクラスターが発生し40人を超す感染者が出たが、ギリギリのタイミングで大会出場にこぎつけていた。ただ、練習試合もできず、調整遅れは否めない中で、初戦の甲府一戦はサヨナラ勝ちで何とかしのぐと、甲府西、都留を下してここまできた。豊泉監督は「こうして大会の中で選手のコンディションが良くなってくれるといいんですが」と、祈るような表情を見せていたが、勝ち進み13年ぶりの甲子園出場にあと1勝と迫った。投打に復調を見せる日本航空が富士学苑との決勝戦に挑む。