八尾が9回逆転サヨナラ勝ちで、18年以来の16強入りを果たした。2点差を追った9回1死満塁から、代打・土庵恵次郎外野手(3年)の適時打で1点差に。続く山口貫太郎内野手(3年)が左前打を放ち、サヨナラの走者が生還した。投げてはエース長尾彦秀(よしひで=3年)が9回を完投。9回無死二、三塁のピンチを3者連続三振でしのぎ、流れを作った。

負けられない理由がある。20年夏の独自大会2回戦・美原戦で、あと1点取ればコールド勝ちという7回裏。代打の2年生が四球で一塁に歩いたあと、登録外だったことが判明。既定により、没収試合となった。

1年前の夏、声を詰まらせながら選手に謝った長田貴史監督(44)は「(選手たちは)先輩の思いをもちろん背負いながら、日々向き合っている。選手にも強い思いがある」と明かした。エース長尾と主将の嶋崎大河外野手(3年)は前チームのメンバーだった。受験勉強優先で部活を引退した3年生もいた中、6人だけは「高校最後の夏」をやりきろうと最後まで残った。その姿を見ていただけに、嶋崎は「2、3日は何も考えられなかった」と残念でならなかった。だが没収試合後、6人が後輩にかけた言葉は「次、頑張れよ!」。そこから今のチームは、スタートした。

長尾は、質の良い球を投げられるよう投球練習を増やした。嶋崎も、チームに共通の目的意識を持たせようと奮闘。練習試合で勝利を重ね、自信をつけて夏に臨んだ。主将は「先輩への思いがあったから、ここまで頑張れている。絶対、甲子園に出場したい」と誓った。【三宅ひとみ】