マッスルパワーさく裂だ !  4年ぶり11度目出場の盛岡大付(岩手)は、14安打の猛攻で沖縄尚学に4―0で快勝。17年以来の16強入りを果たした。4回に4連打などで2点を先制すると、8回には4番小針遼梧外野手(3年)が左翼スタンドに突き刺し、6番新井流星外野手(3年)はバックスクリーンに運ぶ、破壊力満点の「盛付劇場」第2幕を完結させた。ノースアジア大明桜(秋田)は、2―8で明徳義塾(高知)に完敗したが、最速157㌔右腕、風間球打(きゅうた)は6回を6安打2失点と力投した。

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明桜は逆転負けで涙をのんだ。エース風間が力投し、1点を追う5回の攻撃。無死満塁と好機を広げた。打席には主将で1番の中井稜貴捕手(3年)。再逆転への機運は高まった。しかし、カウント2-1から128キロの直球を打ち上げて三飛。続く土居健太外野手(3年)は1ボールからスクイズを試みたが、127キロの直球をうまくバットに当てられず三邪飛。さらに飛び出した三塁走者が帰塁できず、まさかの併殺となった。結果的にこの回の無得点が勝敗に響いた。

今大会で歴史を1つ塗り替えた。帯広農(北北海道)との1回戦を制し、秋田経法大付時代の90年以来、31年ぶりに夏の甲子園1勝。現校名で聖地初勝利を刻んだ。風間は「甲子園に来られたのはすごくうれしかった。最後に失点したが、甲子園で思い切りプレーできてよかったです」。中井主将は「悔しいですけど、今まで支えてくれた人たちに感謝の気持ちを伝えたいです」と胸を張った。

輿石重弘監督(58)と選手の間には父子のような固い絆がある。明桜は秋田県外出身の部員が多く、一緒に寮暮らし。「親元を離れてさびしい思いをしているでしょうし、寮の子たちは全員自分の子どもだと思っています」。野球以外にも寝食をともにし、授業でも顔を合わせ、24時間を同じ空間で過ごす。「思う存分に力を発揮させられなかった思いはありますが、元気はつらつと、強豪にも臆せずにプレーしてくれました」とたたえた。「親子」で挑んだ甲子園が幕を閉じた。【山田愛斗】

▽ノースアジア大明桜・輿石重弘監督(風間の成長に)「非常に球速も伸び、いい投手になった。今日もナイスピッチングだった。まだまだ伸びる子だと思いますし、これから将来のある子ですから、もっともっと成長してほしいです」

▽ノースアジア大明桜・中井主将(後輩たちに向けて)「まずは甲子園に行ってもらって、自分たちよりも上に行ってもらいたいと思います」