<全国高校野球選手権:智弁学園3-2明徳義塾>◇26日◇準々決勝

悲しみが止まらない。クールダウンをしていると、先輩に背中をたたかれた。「お前は泣くな。また来年、戻ってこい」。先発した明徳義塾の2年生左腕・吉村は、エース代木の言葉を心に刻み、言った。「最後まで勝ち進んで行きたかったけど、途中で負けてしまった。悔しいです」。

1回戦、2回戦と代木を好リリーフし、8強入りの力となった。4強をかけた智弁学園戦で初めて先発を託され、8回まで1失点。9回に代木から勝ち越しソロを贈られたが、あと1イニングで暗転した。「入れに行く形になってしまいました」と、先頭にボール先行から左前打を許した。次打者は「(バントと)決め付けてました」。バスターを決められ無死一、二塁。さらに連続死球で同点の押し出し。最後は内角球で詰まらせた当たりが右前に落ちるサヨナラ打となった。

勝ちきる難しさを、身をもって学んだ。馬淵史郎監督(65)は「彼なりによく投げたんでしょうけど、勝てなかったのは何か原因がある」と指摘した。先頭を出さなければ…。バントと決め付けなければ…。試合後すぐ吉村に言った。「(無死一、二塁から前川への)死球がもったいない。低めに投げればゲッツーもあった」。吉村も「そう思いました」。次への戦いは、もう始まっている。【古川真弥】