リードオフマンのバットが、新生・帝京の勝利を呼び込んだ。「1番三塁」の小島慎也内野手(2年)は「チームとしての初戦。勢いをつけたい。自分で流れが変わる」と使命感を胸に、最初の打席に立った。初球ボールの後の2球目を振り抜き、中堅後方のネット直撃二塁打を放った。
勢いは止まらない。2回には、2死二塁から初球を引っ張り、右越えに適時二塁打。4回にも初球を右越え二塁打だ。仕上げは8-0で迎えた5回。1死満塁で、三たび初球を引っ張り、右越えにコールド勝ちを決める満塁本塁打を放った。「自分が決めようと思いました」。二塁打3本&満塁弾の4安打5打点。爆発した打棒とは対照的に、淡々と振り返った。
この夏は東東京ベスト4まで進んだが、新チームは“危機”に陥っていた。小島は「(4強で)やり切った感が出てました。夏、終わった後の練習で、少し、だらだらしていた。自分は甲子園に行けず、悔しかったのですが」と明かした。コロナの影響もあり、練習試合は1試合しかできなかった。バラバラになりかけた空気を変えたのは、2年生たち自身だ。9月に入ったある日、練習後に全員で居残り、感情も交え、本音をぶつけ合った。秋に向けてまとまった。
小島は、今夏で退任した前田三夫現名誉監督(72)の教えを忘れていない。「裏を使え」。こう解釈している。「素直に、ありがとうございます、じゃだめ。なにくそ、という気持ちが大事。試合で打てなくても、次、打ってやると思うこと」。この日は、文句なしに打った。下級生ながらレギュラーで使ってくれた前田名誉監督にも胸を張れる。
コーチから、この秋、指揮を執る金田優哉監督(36)は「打撃は自信を持っている」とたたえた。同時に「最後、ミスをした。ああいうところで、突っ込まれる」と、5回にゴロを一塁悪送球した点も指摘した。結果的に、先発高橋の5回参考完全試合を壊す失策となった(結果は、ノーヒットノーラン)。もちろん、小島自身も「投手が打ち取った当たりをアウトにしないといけない」と分かっている。「自分たちの代で、甲子園を目指したい」。目標を果たすため、大勝にも口元を引き締めた。【古川真弥】

