奥会津の町に吉報が届いた翌日。ナインは甲子園に続く長い道を歩み始めた。第94回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)に21世紀枠で出場する只見(福島)が29日、同校で練習した。午前は晴れた空の下、時折雪が舞う中“雪上ランニング”で下半身を強化。以降は駐輪場での打撃練習などで汗を流し、新たな歴史を刻むための1日目をスタートした。

険しい道は自分たちで切り開く。発表翌日の練習開始。選手が最初に身につけたのはスパイクとグラブではなく、長靴とスコップだった。雪に覆われたグラウンドに立つべく、2メートルを超える雪の壁に段差を作って上り、グラウンド中央に長方形の道を作った。準備が整うとマネジャーの掛け声で一斉にスタート。約10分間走り続け、体と心を温めた。吉津塁主将(2年)は「でこぼこの雪の上を走ることで足腰や体幹を鍛えられて良い練習になった」と汗をぬぐった。

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会津地方では1959年(昭34)春以来、63年ぶりとなる甲子園。選手には家族や友人、OBらから祝福のメッセージが届いた。同校では出場決定を喜ぶ垂れ幕が掲げられ、玄関には開幕までの日数を示すデイカウンター板が設置された。長谷川清之監督(55)は「(開幕まで)約1カ月半ある。外で実戦的な練習がなかなか組めない中で、何とか試合ができる状態に仕上げていきたい」と力を込めた。今日30日で、あと47日。困難が訪れても一致団結で前進する。【相沢孔志】