第94回選抜高校野球大会(18日開幕、甲子園)に出場する大阪桐蔭が7日、西宮市内で関西学院と練習試合を行い、25安打20得点で大勝した。昨秋の明治神宮大会を制覇し、ひと冬越えて、センバツ優勝候補の強さに磨きがかかっていた。

象徴はプロ注目の3番松尾汐恩捕手(2年)だ。大量リードの6回、変化球をとらえて左翼に運ぶと、8回も速球を完璧にとらえて再び左翼へ。2打席連続本塁打で健在ぶりを示した。「まだまだ仕留めきれる球を仕留めきれなかった。大きいのを狙ってしまった」と反省もパワーアップを感じさせる高校通算19発目。NPBの複数スカウトの前で4安打の固め打ちだ。

「一致団結」が美徳の高校野球にあって大阪桐蔭の冬は異色だ。あえて「個人主義」に走らせる。西谷浩一監督(52)は「秋はチームとしてどう勝つかをやっていた。大会後は個人の力をつける。人のことなんてまったく考えなくていい。チームワークが悪くなってもいい」と話す。個々の技量向上が最大のテーマ。松尾もこの冬、打撃の体重移動を試行錯誤し、外角への対応力を磨いてきた。目標の30本塁打に力強く進む。

西谷監督は初戦相手の鳴門(徳島)の映像を6日に見た。「(決勝まで)8日間、5試合を考えてできるほど高校野球は甘くない。(投手)ローテーションもない。まして、昨年、初戦で負けている。とにかく初戦のことしか考えてない。5分の1の気持ちは、まったくない」と気を引き締める。過密日程で投手起用がカギだが、初陣に全力を尽くす。常勝軍団が本番モードに入った。【酒井俊作】

◆松尾汐恩(まつお・しおん)2004年(平16)7月6日、京都府生まれ。川西小1年から野球を始める。精華中では京田辺ボーイズに所属。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入りし、2年春夏連続で甲子園出場。昨秋の明治神宮大会決勝・広陵(広島)戦で2本塁打。50メートル6秒0。二塁送球は1秒87。178センチ、76キロ。右投げ右打ち。