第94回選抜高校野球大会に出場する監督の人間関係を「相関図」で紹介する。出身校の先輩と後輩、同学年の集いなどの横のつながりから、現役時代の思いがけない出会いまで。各校を率いる指導者の背景はさまざまだ。開幕戦に登場する浦和学院(埼玉)の森大監督(31)は昨秋に就任。今大会最年少タイの指導者として、父の士前監督(57)に続く。一方、今大会の最年長、77歳の大垣日大(岐阜)阪口慶三監督は、長い監督生活とともに人脈も豊富。優勝候補の大阪桐蔭・西谷浩一監督(52)、花巻東(岩手)の佐々木洋監督(46)ら注目の集まる指揮官の“縁”も紹介する。

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忘れ物を、甲子園のベンチに取りに戻ってきた。浦和学院・森監督は全国の舞台で初采配となるが、「昨年の夏の悔しい思いをリベンジしたい、という思いが強い」と明かす。昨夏の甲子園は、部長として父の士前監督と一緒にベンチ入り。初戦の2回戦、日大山形戦に3-4で敗れた。監督として迎える最初の試合で、目指すは白星だ。

初めて甲子園を訪れたのは1歳のとき。士前監督が27歳の若さでセンバツ初出場し4強入りした際に、連れられて来た。その後も、甲子園出場のたびにアルプスへ。「ウラガクの野球が、DNAに刻まれている」と笑う。自身も浦和学院に進学し、親子鷹で08年夏の甲子園に出場。1回戦の横浜(神奈川)戦に先発し、筒香(パイレーツ)に2ランを浴びた。「カーブを投げて打たれてますからね。そういう経験談を含めて伝えたい」ととらえている。

選手たちもよく口にする“新生ウラガク”。新監督となり、ユニホームは10年秋季大会まで着用していたオールドスタイルを採用。胸に「URAGAKU」と入る懐かしのユニホームを復活し、帽子のデザインは一新した。

練習試合では、ベンチとグラウンドの境目に白線を引いた。イニング中、勢い余って飛び出すと指摘される甲子園に向けた対策。試合前練習から分刻みで決まっているスケジュールに対応するため、昨秋の県大会から攻守交代の際にはチーム内でタイムを数える。「初采配になりますけど、監督交代してから今日まで、悔いがない。僕の中でベストと言える準備ができたと思う」。舞台は整った。【保坂恭子】

 

▽浦和学院・宮城誇南投手 開幕戦というのは誰もが経験できることではないと思う。新生ウラガクをたくさんの人に知ってもらえるように、ワクワクしています。

▽浦和学院・金田優太内野手 まずは全員で校歌を歌うのが目標。緊張して固くなると思うが、自分らしくプレーしたい。