北海道・天塩町出身で女子野球の元侍ジャパン女子代表、金由起子氏(44)が、4月から新たにつくられた栗山高女子硬式野球同好会監督に就任した。女子ワールドカップに6度出場し、10年には代表主将を務めるなど5度の世界一に輝いた経験と技術を、選手たちに伝えていく。「イチからつくるチームなのですごく楽しみ。ワクワクしています」と胸を膨らませている。

高校生の指導に興味を抱いていた。栗山町が同チームの設立を目指し人選を進めていた昨夏、オファーを受けた。過去には道外の学校から誘いを受けたこともあったが「やっぱり北海道で(やりたい)という気持ちがあった」。就任が決定すると昨年12月には会見を行った。14日には同校グラウンドで初練習を行い、ノックも打った。「初日にしては上手にボールを扱えていた」と選手の動きを振り返り、新たな1歩を踏んだ。

同好会は選手2人でスタート。更別出身の辻奈成(なな)と音更出身の森乃々花(ののか)は「金監督のもとで野球がしたい」と、町が運営する寮で生活する。辻は「チームができたときに全国でいい成績を残せるように」。森は「甲子園球場でプレーしたい」と大きな目標を掲げる。

金監督は昨季まで日本ハムを率いた侍ジャパン栗山英樹監督(60)と連絡を取り合うこともあり「『練習に行くよ』と言ってくれている。(選手に)刺激を与えながらやっていきたい」と話す。選手2人は入学式が行われた8日に早速栗山監督と初対面。「頑張って」というメッセージとともに胸に「北の国から伝説」と記された練習用Tシャツをプレゼントされた。14日の練習では渡されたTシャツを着用し約1時間半、体を動かした。

今後は同好会から野球部を目指して活動を進めていく。27日にはユニホームの披露を予定。駒大苫小牧や札幌新陽との合同練習も見込んでいる。初実戦は5月15日開幕予定の北海道女子リーグで札幌新陽の選手たちと試合出場を検討している。「日本一というのはなかなか難しい目標だと思いますけど、北海道でまずは1番になりたい。今年はじっくり2人と楽しみながら女子野球をやっていきたい」。1歩ずつ歩みを進め、少しずつ力をつけていく。【山崎純一】

◆道内の高校女子硬式野球部 札幌新陽が17年4月に道内初の高校女子硬式野球部として創部。19年3月の全国高校女子選抜で8強、夏の全国高校女子選手権では道勢初の4強に進出。20年4月には駒大苫小牧が道内2校目として創部し、21年3月の選抜で全国1勝を挙げている。

◆金由起子(こん・ゆきこ)1977年(昭52)9月20日、天塩町生まれ。天塩小4年の時に天塩タイガースで野球を始める。社会人時代には女子軟式野球チームの札幌シェールズ、05年には硬式女子野球チームの札幌ホーネッツ・レディース結成に尽力。日本代表では10年に主将を務めるなど、W杯で5度優勝。日本ハムアカデミーチームのアシスタント、札幌新陽女子硬式野球部の外部コーチなどを経て、今年4月から栗山高女子野球同好会監督に就任。家族は両親と兄。趣味は旅行とドライブ。