闘志あふれるエースの雄たけびが、ナインの心を1つにした。光南が学法福島に9-0で7回コールド勝ち。6年ぶりの決勝進出と地元福島で開催される東北大会(6月7日開幕)出場を決めた。小林貫大投手(3年)が2度の雨天中断の中、2安打完封と2安打2打点でチームをけん引。「3番投手」としての責務を全うし、重要な一戦で勝利に導いた。

6年ぶりの大舞台を決めた小林は力強く拳を握った。9点リードの7回2死二塁。雨脚が強くなる中、全力で1球を投じた。打球音が響くと、雨空に向かう右翼への打球を確認。天を指さし、しっかり捕球を見届けて試合終了。マウンドを降りて湯田嵐士捕手(2年)とタッチをかわし、整列した。「学法福島に勝てたことが一番うれしい。東北大会出場を目標にやってきたので達成できてうれしい」と声を弾ませた。

61年ぶり4強で勢いに乗る相手に11安打9得点で圧倒。打線に火を付けたのは、小林のバットだった。初回を3者凡退に抑え、同裏の第1打席は無死二、三塁のチャンス。フルカウントの7球目に先制の2点右前適時打を放つと、一塁上で雄たけびを上げた。ベンチからは「ナイスバッティング!」と祝福。勢いづいた打線は打者11人の攻撃で一挙5得点した。

幸先の良いスタートに、投球も光った。直球とスライダーを軸に真っ向勝負。初めて走者を背負った4回1死二塁から7分間、雨天中断したが、気持ちを切らさず無失点。要所でギアを上げ、声を出して投げ込んだ。「相手に勢いを渡さないように自分の勢いを出せるような感じで叫んでいた」。気迫ある投球に敵将の学法福島・藤森孝広監督(44)は「見ていていい投手だなと。県立校、私立校関係なく投げっぷりが良かった。気持ちがボールに乗っていた」とたたえた。

決勝の相手は聖光学院。昨夏は4点差で撃破し、同校の14大会連続甲子園出場を阻む「歴史的1勝」を収めたが、新チームの同秋は4点差で敗戦した。小林は「応援してくださる方にいい報告ができるように全力を尽くしたい」。東北大会や夏につながる1勝へ、エースが存在感を示す。【相沢孔志】