智弁和歌山がセンバツ王者の大阪桐蔭との接戦を制し、16年ぶり3度目の優勝を飾った。

昨秋から公式戦29連勝中だった大阪桐蔭に対し、初回に先手を取った。1回表。先頭打者、山口滉起外野手(3年)がアーチ。今春センバツの勝利投手、大阪桐蔭・前田悠伍(2年)の1ボール1ストライクからの変化球を捉え、左中間スタンドの芝生席に運んだ。センバツ王者への鮮やかな一撃に、スタンドが沸きに沸いた。

さらに2死から青山達史外野手(2年)と岡西佑弥内野手(3年)の連打などで満塁に。この絶好機で坂尻翔聖(とあ)内野手(3年)のゴロを処理しようとした大阪桐蔭の遊撃手、鈴木塁(3年)が捕り損ね、二塁へ悪送球するダブルエラー。2人の走者がホームにかえり、2点を追加した。

守っては先発の吉川泰地(2年)が3回を投げ、4回は西野宙(そら=3年)、5回は橘本直汰(3年)が登板。1点のリードを守って6回からプロ注目の武元一輝(いっき)投手(3年)を投入した。武元は7、9回の1死二塁などのピンチをしのぎ、最少リードを守り抜いた。

昨夏の甲子園王者が、センバツ王者の進撃をついに止めた。中谷仁監督(42)は「100億年早いと言われますけども、ぼくらも同じような気持ちで、負けられないと思いながら日々練習、訓練をしているつもりなので、やっていて(大阪桐蔭の)彼らの思いの強さとか負けられない中で必死でもがいている姿っていうのは、うちの子たちも彼らの気持ちがわかるところがあるというか。100億年早いですけど」と昨夏の甲子園覇者として、ともに負けられない重圧を背負いながら成長する春の王者・大阪桐蔭への思いを明かした。

6回から無失点救援の武元は「前の3人がいい流れでつないでくれた。頼んだぞ、と言って、いい流れでもってきてもらった。ゼロに抑える、勝つという気持ちで投げました。ほんまに勝ちたいという気持ちと渡部のミットに投げるという意識だけで。(渡部)海を信頼して」と声を弾ませた。