第104回全国高校野球選手権埼玉大会の組み合わせ抽選会が15日、行われる。春季県大会4強の公立校・上尾の身長181センチのエース左腕、倉持輝喜投手(3年)は雪辱を期して最後の夏に臨む。

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倉持が初めて背番号「1」を背負ったのは、春季県大会だった。チームはベスト4まで進んだが、星野との3回戦は5回4失点、狭山清陵との4回戦は4回5失点。エースの仕事を果たせなかった。「冬に求めたコントロール力が、春までに完成しなかった」と悔しさをにじませた。

中学3年間は肘のけがもあり公式戦出場なし。全くの無名選手だった。転機は昨春。同じ行田リトルシニア出身で同い年の川口翔大朗投手が2年生でベンチ入りした。自身は背番号がもらえなかったことで闘志に火がついた。

投手として一から鍛え直すため朝練、放課後練習合わせて250球近くを連日投げ込んだ。コロナ禍でチーム練習ができないときは、川口とともに中学のグラウンドを借りて自主練習。平日は最低1時間、土日は午前9時から午後5時まで汗を流した。1年時に120キロも出なかった球速は、今では130キロ台までアップ。体重も8キロ増の80キロとスタミナもつき、背番号1を託されるまでになった。

今夏は切磋琢磨(せっさたくま)してきた川口とチームを引っ張る。秋、春ともに敗れ、両大会で優勝した浦和学院に勝たなければ、甲子園への切符はつかめない。「最後の大会、自分のパフォーマンスをやり遂げたい」。打倒浦学を成し遂げ、84年以来38年ぶりの夏制覇へ-。全力で腕を振る覚悟は出来ている。【星夏穂】