第104回全国高校野球選手権西東京大会(7月9日開幕)に、連合チームとして3チーム(9校)が出場する。2012年夏から認められた部員不足(8人以下)の学校による連合チーム数は、全国で112チーム(337校)。昨年の107チーム(309校)を上回り、過去最多を更新した。統廃合の特別措置による連合チームは、9チーム(19校)が参加する。

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井草・大泉・田柄(西東京)の連合チームは、11日に工学院大付との初戦(上柚木公園球場=12時30分開始)に臨む。4人の3年生の内訳は、井草が2人、大泉が1人、田柄が1人。そのため、大泉と田柄の3年生は、同じ高校に同学年の部員がいないことになる。しかし2人は「連合チームだから、1人だとは思わなかった」と口をそろえる。

最大の要因は、チームで過ごした時間にある。多くの連合チームは、新入生が加入して各校の部員が9人以上になると、単独出場しなければならないルールがあるため、大会ごとに解体を強いられる。そうした中、この3校が連合チームをスタートさせたのは2020年8月。2年近くも同じメンバーで、週1回は練習や試合を重ねてきた。

主将を務める広瀬稜真捕手(3年=大泉)は、2年生の夏に校内の同学年の部員が辞めてしまったが、孤独を感じることはなかった。「確かに大泉で練習をする時は3年生1人だったんですけど、連合の時は他校の同学年もいたので、1人だとは思わなかった」。

池本澪月外野手(3年=田柄)も、2年生の春に校内の同学年の部員が退部。たった1人となったが、「辞めたいと思ったことは1度もない」と言い切る。連合チームの仲間がいるからこそ、野球を続けられた。

彼らと時間をともにしてきたのが、井草の矢内(やない)幹太内野手と井塚諒内野手(ともに3年)。2人が井草に入学した時、先輩部員はいなかった。井塚は「全国でいちばんモチベーションを保つのが難しかったはず」と冗談交じりに振り返るが、連合チームで汗を流し、「同級生が増えた感覚」と実感を込める。練習後には、別々の学校に通う3年生4人でファストフード店へ行き、チームの課題やプロ野球の話に花を咲かせることもある。自らを「つなぎの4番」と表する矢内は、「お互い仲良くなれたと思う」と照れ笑いを浮かべる。

チームを組んで2年。「点差が離れても、今までやってきたことを、チームとして出せるようにしたい」。広瀬主将は“チームとして”の部分に、ひときわ力を込めた。

最後の夏。2年かけて成熟させたチームワークで、1勝をつかみとる。