春の東北王者・聖光学院が10-0の5回コールドで船引に完勝し、白星発進を決めた。主将の1番赤堀颯内野手(3年)が2安打2打点1四球とリードオフマンとして躍動。

日本一に向けて聖光学院が歩み始めた。打線を勢いづけたのは主将の赤堀だ。1点リードの2回2死一、二塁。カウント2-1から真ん中高め直球を右中間深くへ流し打ち。「ベストスイングができた。つなぎのバッティングにこだわりながら1番の役割を果たせたと思う」。3点差に広げる2点適時三塁打で、3回以降の攻撃へ流れを作った。

昨夏の準々決勝、光南に1-5で屈して14連覇を逃した。夏の福島大会連勝記録(20年独自大会含む)も「87」でストップ。悔し涙を流す先輩たちを見てきただけに「負けたら終わりなので、チーム一丸で戦い、その結果、負けなかったことが一番大きい」。夏1勝をかみしめた。

春の東北大会で4年ぶりの優勝を果たした。初戦は盛岡大付(岩手)に7回コールドも、それ以外は接戦。準々決勝は秋田商に逆転サヨナラ、準決勝は弘前学院聖愛(青森)と延長12回の激戦、東北(宮城)との決勝は0-3の7回に一挙4得点でひっくり返した。「奇跡のような勝ち方で、いつ負けてもおかしくなかった。自分たちが弱いと分かっている分、勝って謙虚に、かぶとの緒を締めよう」と東北王者の肩書はいったん忘れ、夏を迎えた。

悔し涙はいらない。勝って泣くのが聖光野球の神髄だ。「とにかく負けないことが最大の目標。日本一を掲げている以上は、ひたむきに、泥臭く戦います」。1戦1戦に魂を込め、再び福島の絶対王者に返り咲く。【山田愛斗】