託された思いに応えるべく、力強く投げ込んだ。第1シードの仙台育英が仙台商に7-0で8回コールド勝ち。昨夏4回戦で敗れた相手に雪辱を果たし、3回戦進出を決めた。1回戦の柴田戦に続き、2戦連続で先発を任された高橋煌稀投手(2年)が、4回3安打7奪三振無失点の好投を見せた。

試合開始は8時58分。整備されたマウンドに足を踏み入れた高橋が、気を引き締めて1球を投じた。「初回の入りを先頭から気をつけよう」。先頭から見逃し三振と二ゴロでアウトを積み上げ、幸先の良い立ち上がり。3番に中前打を許したが、名門の背番号「11」は動じない。相手4番を空振り三振に封じ、無失点でベンチに引き揚げた。

投球で流れを引き寄せた。同裏1死一、二塁から斎藤陽(ひなた)外野手(2年)の右前適時打と尾形樹人捕手(2年)の中犠飛で2点を先制。「自分らは先制点にこだわっている。いい感じに先制点が取れて良かった」。打線の援護を受け、さらに気合を入れた。2回は3者連続三振を奪うなど、持ち味の直球を軸に4回無失点。5点リードの5回からは湯田統真投手(2年)がスコアボードに「0」を並べ、コールド勝ちを収めた。

21年7月17日、石巻市民球場。先輩たちが1点差で惜敗した姿を高橋は、スタンドで目に焼き付けた。1年後に訪れたリベンジマッチ。「2年生なので緊張もあったが、とにかくいつも通りのピッチングを心がけた」。一塁側芝生席では、ベンチ入りがかなわなかったチームメートが応援していた。「(メンバー外の)3年生から『頑張れよ』と声かけをしてもらった。登板に向けていい声かけをしてくれたので、このようなピッチングができた」と感謝した。

3回戦は18日に仙台高専名取との対戦が決まった。今後の戦いに向け「いつも通りのピッチングをして3年生の思いを背負ってやっていきたい」と意気込む。優勝まであと4勝。一戦必勝で頂点に近づくべく、チームのために右腕を振る。【相沢孔志】