<高校野球徳島大会:鳴門渦潮1-0阿南光>◇17日◇2回戦◇オロナミンC球場

今秋のドラフト候補に挙がる左腕、阿南光・森山暁生投手(3年)が1点に泣いた。

5回終了時まで0-0。鳴門渦潮の2年生エース岡田潤穏(しおん)投手と引き締まった投手戦を繰り広げた。

整備終了後の6回、2死二塁のピンチから右翼前へ安打を浴びる。本塁はきわどいクロスプレーとなったがセーフの判定で、唯一の得点を許した。

森山は「プロや侍ジャパンではなく、支えてくれた周りの人のためにプレーをしようと思っていた。後半に差しかかってストレートが抜けたり制球が悪くなった。浮いたところを打たれてしまった」と悔しさをにじませた。

高橋徳監督(39)は「僅差で負けるのは監督の責任が大きい。選手はよく頑張った」と選手をたたえた。

これまでの自己最速は146キロ。直球に90キロ台、110~120キロ台の変化球を織り交ぜる投球で、この日許した安打は6。3つの三振を奪った。

球場には12球団20人を超えるスカウトが偵察。同じ徳島の池田で「阿波の金太郎」の異名をとった巨人・水野スカウト部長は「身体が締まり、キレが出てきたと思う。腕の振りも、変化球でも緩む感じがしない」と評価。オリックス乾スカウトも「まだまだ伸びしろがありそう。要所要所で力を入れる高校生らしからぬ(投球)」と評した。

森山は敗戦後、プロ志望届を提出することを明言した。「初戦で負けてしまって、アピールできるところはない。ここからもっと成長できるか。ドラフトまでの期間で成長した姿を見せられるようにしたい」。阿波の怪腕が、次のステージへ決意を表明した。【波部俊之介】