「麟太郎シフト」を打ち破った。高校通算73本塁打を誇る花巻東の2年生スラッガー、佐々木麟太郎内野手が3回戦の一関二戦に「3番一塁」で出場。今夏初安打含む4打数2安打1打点と状態を上げてきた。チームは8-0の7回コールドで5年連続(20年独自大会含む)の8強入りを決めた。

今夏7打席目、佐々木麟に待望の一打が生まれた。4-0の4回1死一、二塁で迎えた第3打席、初球の内角直球を捉えた。右前に鋭い打球をはじき返すと、二塁走者が生還した。遊撃手が二塁ベース後方やや右寄り、二塁手が一塁ベースと二塁ベースの中間に立つ強打者警戒の特別シフト。一、二塁間に内野手3人がいる包囲網をかいくぐっての適時打だ。初戦は4打数無安打。「なかなか安定しないような状態が続いているので、とにかく花巻東が勝つことが第一」という思いでHランプをともした。

6回無死一塁の第4打席では、中堅手が定位置よりも右翼手寄りに守る狭くなった右中間に二塁打を運んだ。引っ張る打撃が多い佐々木麟対策に、外野も深くする守備陣形を敷いた一関二・小山智之監督(55)は「内外野のポジショニングで打球方向をある程度絞って」と明かした。先輩のエンゼルス大谷も大リーグで右方向の打球を警戒した極端なシフトを敷かれているが、佐々木麟もそれを攻略してみせた。

中学2年から患っていた両肩の胸郭出口症候群で昨年12月に手術を行った。その影響もあり、今春センバツはベストパフォーマンスを発揮できなかった。手術から半年以上が経過し「徐々に自分自身も良くなっている感覚があります」と話す。「この大会で甲子園にもう1度戻りたいと思っている。自分の体以上にチームが勝つために、命をささげて頑張りたいです」。2年目の夏。並々ならぬ覚悟でバットを振る。【山田愛斗】

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