3時間を超える熱戦を制し、第4シードを退けた。名取北が今春県4強の仙台三を3-2で下し、36年ぶりの8強入りを果たした。佐藤暖久(はるく)内野手(3年)が2度の救援登板で3回2失点と粘投し、同点の10回に値千金のスクイズを成功させた。前日19日は佐藤純二監督(48)の誕生日。ナインが勝利をプレゼントし、創部初の4強にあと1勝とした。

気持ちで負けず、右腕を振った。佐藤暖は6回、1度目の救援登板でこの回2失点。7回から三塁守備に戻ったが、サヨナラの走者が出た同点の9回無死一塁。渋谷悠翔(はると)投手(3年)から後を託された。「絶対に抑える気持ちでマウンドに立った」。2死満塁のピンチを背負っても、相手5番を空振り三振。駆け足でベンチに引き揚げた。

気迫の投球が、勝利を引き寄せた。直後の10回1死一、三塁。右打席に入ると、2ボールから勝ち越しのスクイズを成功。「決められたというホッとした感覚。(チームメートが)迎え入れてくれたので、次のピッチングにつながった」。同裏も右横手から力強く投げ込んで3者凡退。最後は三振でアウトを奪い、ほえながら高く跳び上がった。

同校過去最高の8強に並び、初の4強も見えてきた。指揮官は選手に向け、話したことがあった。

佐藤監督 1つのモチベーションとして三十何年ぶりだから君たちで何とか(成績を)塗り替えようと。ベスト4は初めてになるので、そこまでまず挑戦しようと。あとはコロナなので、全校応援ではなくても、3年生だけでも次の試合に応援に来てもらって、みんなでいいのを見せたいねというのは言っていました。

24日の準々決勝は、同じ南部地区の仙台南と対戦する。「次の試合も間違いなくしびれる展開になると思うので、自分たちの力を最大限出して打って守って勝ちたい」と佐藤暖。新たな扉を開いてみせる。【相沢孔志】