昨夏甲子園優勝校の智弁和歌山が背番号11の快投で夏連覇へ勢いをつけた。

先発マウンドに上がった武元一輝投手(3年)は0-0での3回、味方の野選などで無死満塁のピンチを招くも後続を3人切り。粘りの投球は好機を呼び寄せ、直後の攻撃では4番・岡西佑弥一塁手(3年)の満塁弾などで一挙7得点。一気に試合を決めた。

主将も務める岡西は「(打ったのは)肩口から入ってくるスライダー。相手心理を考えて、変化球を待っていた」と1発を振り返る。

武元は3回のピンチを振り返り「仲間のミスもカバーできるように踏ん張ろうと、ギアを上げた」と話した。

今夏初登板となった今試合は4回無失点4奪三振。63球を投げ、最速は146キロを計測した。

中谷仁監督(43)は「彼らしい(投球)。ピンチを作りながらも粘るのが特徴」と目を細めた。

右腕が課題として取り組むのは両サイドへ投げ切る直球の徹底。チームで「投げ込み期間」と設定している6月には、ほぼ毎日100球を投げ込み、1球1球感触を突き詰めてきた。「フォームの力感や足の上げ方など、監督と何がベストか相談して作ってきた」。

巨人岸スカウトは「春先からストレートが走るようになってきた。夏に向けて状態は良くなっている。大器晩成型だと思う。大化けするタイプ」と評価した。

「プロで活躍することが目標」と語る武元。チームの目標である夏連覇に向け、次戦は4強をかけ戦う。「攻めていかないと足をすくわれる。受けて立つというよりも、攻めていく」。

夏の甲子園には過去25度出場の、言わずと知れた和歌山の名門校。2年連続4度目の夏制覇を目指し、進撃を続ける。【波部俊之介】